[ I ' m  S c a r e d ! ]





















「いょォす ミスターKKぇー」



開けてしまった玄関のドアをもう一度閉めたくなった。

軽率過ぎた自分の行動を深く後悔しつつ、KKは突然の来訪者を睨め付けた。



「何の用だ」



当然機嫌に比例して声色も低くなる。



「何の用だと思う?」



無駄に楽しげに訊くMZDに勘弁してくれと心中で毒づきながら、今一度上から下まで彼を眺める。



「なんだその妙ちきりんな格好は」



訝しげに眉をひそめるKKの態度がMZDには不満だったらしくわかりやすくむくれた。

彼が永遠の子供というのにも今なら素直にうなずける。



「なんだはねェだろーよ」



Happy Halloween 、MZDは笑った。



毎回 洋モノの怪物に扮するのも芸がないとかで今年はジャパニーズホラーを目指してみたらしい。

パチンと指をはじくと青白い炎が周りを浮遊し始める。人魂のつもりのようだ。

なかなか手が込んでいるじゃないか、KKは妙なところで少し感心した。

・・・唐傘がカボチャカラーなのはどうかと思うのだが。



それはそうとして、10月31日といえば秋も終わりである。

特に日が落ちてからの冷え込みは日増しに厳しくなってきていた。

気合は充分伝わったのだが、さすがにこの時期にその格好は薄着すぎやしないだろうか。

KKは思わず尋ねずにはいられなかった。



「・・・寒くね?」

「うん実は」

「・・・入れば?」

「イヤ話がわかるねーKKは」



MZDはへらりと笑って遠慮なく家に上がりこむ。

お邪魔しますと言っただけまだマシだと思うべきだろうか。



「で、本題だけど」



ちゃっかり座布団の上を陣取ってからMZDは思い出したように言った。



「トリック オア トリート」



さらに図々しくも掌を上にしてKKの方へ差し出してくる。

KKは力を込めてそれを押し戻した。



「トリートのほうがウチにある訳ゃねぇだろうが」



頭痛を堪えるようにこめかみのあたりを軽く押さえてうんざりと言い放つ。



すかさず、MZDが悪戯っぽく笑みを浮かべた。



「じゃトリックのほうはアリなわけだ」



どうやら頭痛は気のせいだけではなさそうだ。



「・・・・・・・・・それが狙いかペテン神め」

「ペテンじゃねェぜー?お菓子くれないKKが悪ィんだし」



今夜は万聖節の前夜祭なんだから。



神より悪魔な風体のMZDはとことん楽しそうだ。

その後ろで影がヤレヤレという身振りをしてみせる。



「 ――助けろっつの」



藁にも縋る思いでKKはそう口にしてみるが、肩を竦められてお終いだった。



「観念しちまえって」



始終楽しげなMZDの態度が更に癪に障る。

トンとKKの肩を小突いてMZDは耳元に直接声を吹き込んだ。



「イタズラでもちゃあんと甘いンだからよ?」



KKは色々な意味で背筋が凍りついた。





窓辺では影がジャック・オー・ランタンと並んでいつもの笑いを浮かべていた。



















19:50 2005/10/31

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ハッピーロウィン!
まさかMKに走ろうとは誰も思っていなかったに違いない。激甘で救われねぇ。




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