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ふと、気が付いたら、スギが何か神妙なおももちでこっちを見ていた。



「・・・どしたの?」



多分スギと同じような神妙な顔をして、問いかける。



「君にね、何かブランコについて話そうとしてた筈なんだけどね」

「うん」

「忘れちゃった」

「・・・うん?」



そんなことをスギは、さらに真剣に考え込む。



「なんだっけ、さっきまでたしかに覚えてたんだけどな」



本気で、悩んでいる。

ここだけを見ると、ブランコについて何を言おうとしていたか悩んでいる、

なんて下らないことには思えないだろう。



「スギ〜?」

「まって!今思い出しかけてるんだから!」



そんなにムキになるほど大切な話なんだ、ブランコって。

一生懸命 記憶をたどっているであろうスギは気付かなかったろうけど、思わず吹き出してしまった。



「ねえ、スギ?」

「ちょっとまってってば」

「ずっと考えてていいよ」

「はい?」

「思い出したらきかせてよ、ブランコの話」



スギはきょとん、というよりぽかんとこっちを見た。

おもしろい顔するなあ、こいつ。



「今日はスギが思い出すまでここにいるからさ」

「馬鹿にしてるね?」



スギが笑う。



「してないって」



それにつられるように笑い返してやった。



「君が期待してるような事は起きないよ、すぐに思い出すから」



もうこのへんまで出かかってるもん、と こめかみの部分をさす。

近いのか遠いのかよくわからない。



「まあ、気長に待つよ」

「やっぱり馬鹿にしてる」

「してないさ」







君はいつも一緒にいて飽きないから

新鮮な空気で生き返るように

ここにいればいつだって再生できる

風を切る

高いとこのきれいな空気を求めて

君はできる力でせいいっぱい漕ぐんだね

青空を目指して



















2:05 2004/06/21

--- c l o s e ---





ぶらんこです。
他の話を書こうとしたんですが、忘れたのです、私が。
だから都合よくスギさんにも忘れていただきました。
とばっちりだね、可哀そうに。




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