2 9 t h t i t l e : 「 え っ と 、 確 か こ の 辺 に ・ ・ ・ あ っ た ! 」 





















「えっと、確かこの辺に…あった!」



こまかしい路地がするりと開けて、目の前の小料理屋は確かにエドワードも見覚えのあるものだった。

どこか得意気に前を行くアルフォンスにこっそり舌を巻く。

出会いたての頃に一度、魚料理が美味しいとかでホーエンハイムに連れて来られただけの店だ。

しかも、ここはエドワードが以前に住んでいた町で、アルフォンスは片手で足りるほどしか訪れたことがない。

基本的な地理すら頭に入っていない筈なのである。



「よく覚えてたな、こんなとこ」

「エドワードさんは忘れっぽすぎるんですよ」



アルフォンスはため息交じりに笑う。

住んでいたところの近所へ行くにも、エドワード一人で来ていたならおそらく辿り着くことは出来なかっただろう。

錬金術に関する知識なら幾らでも覚えているというのに、こちらの世界に来てからというもの、どうも物事が頭に入ってこなくなっていた。

いや、頭に入れる気がしなくなった、と言ったほうが正しいのかも知れない。



「約束通り、エドワードさんの奢りですからね」

「わかってるって」



普段が大人びている分、こういう風に無邪気な様子でいるアルフォンスは、どうしても弟に似ていた。



はじめて彼と顔を合わせたとき、謀られた、とエドワードは確信した。

ホーエンハイムはそういう男だ。

ロケットの研究を始めたのもルーマニアに渡ったのも勿論エドワードの意志だったが、宇宙の話をしたりヘルマン・オーベルトの名を出したりしたのはホーエンハイムではなかったか。

考えれば考えるほどまんまとしてやられた気がしてエドワードは腹が立った。

今はいったいどこをほっつき歩いているのか。

帰ってきたらそこらへんも含めてみっちり問い詰めてから一発ぶん殴るくらいしてやらないと気が済まなそうだ。



魚料理は記憶していたとおりに美味かった。





















18:15 2007/02/15






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デリヒはかわいい。



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