2 2 t h t i t l e : 「 あいつ、死ぬ気だ 」





















「あいつ、死ぬ気だ」



MZDの目線の先にいるのはショルキーだった。



そう確認してから先刻の言葉を頭の中でリピートさせて、ヒグラシはようやくその不可解さに気付いた。



「 はい?」



ちなみに今は某曲のアレンジについて言い合っていたところで、それまでの会話と死ぬ気云々とは全く噛み合っていない。



「死ぬ気って、ショルキーさんがですか」

「そーそ」



ヒグラシの向かいに腰掛けたMZDは行儀悪くテーブルに頬杖を付いた状態でコーラをすすった。

不機嫌さを全身でアピールしようとしている様子がいかにも子供じみて見える。



「あいつ今馬鹿みたいに仕事抱えてんのな」

「はあ」



そういえば、とヒグラシは思う。

さっき通りかかったショルキーは確かに少しせかせかしていた。

普段は常に落ち着いている人だから、よほど仕事が詰まっているのだろう。

MZDは大袈裟にため息をついてみせた。



「睡眠も食事も大幅カットだぜ? 自殺志願もいいトコだ」



ストローでグラスの氷を無意味にかき回しながら喋る。

神をも呆れさせる忙しさとは大したものだ。



「 何か、断り切れないような仕事だったんでしょうか」

「んーにゃ」



気遣わしげげに呟いたヒグラシの言葉をMZDはあっさり否定した。



「あいつはあいつの気に入った依頼しか受けねぇぜ?」



じゃあ、と不思議そうに首を傾げるヒグラシを横目にもうずいぶん薄まったコーラを飲み干す。



「気に入る仕事が多過ぎんの」



やりたいことを片っ端からやっていけば忙しくなるのは火を見るより明らかだ。



「ホンモノのバカだよ ショルは」



MZDはそう言っておかしそうに笑った。

つられてヒグラシも眼鏡の奥で目を細める。



「けど、心からやりたい仕事で過労死 なんて、ある意味一番幸せな死に方なのかも知れないですね」



そして何よりとてもショルキーらしい。

MZDは一しゅん面食らったような顔をして、それから口笛でも吹きそうな具合ににやりとしてみせた。



「 そーいう考え方、な。さっすがヒグラシ」



溶け残りの氷をひとつ口に放り込んでから席を立つ。



「さすがついでに俺様が超心配してたって言っといて。あのバカがくたばる前に」



ひらひらと手を振りつつそう告げて去っていくMZDにヒグラシは苦笑を漏らさずにいられなかった。



「・・・自分で言えば良いのに」



彼はどうやら僕らの神であるより先に 世話焼かせな永遠の子供であるようだ。





















22:48 2006/05/26






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神様すごく好きだ。ヒグさんはポプの人たちの中ではなんだか一目おかれてると勝手に思う。



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