1 7 t h t i t l e : 「 ど こ の 手 の 者 だ ? 」
「どこの手の者だ?」
苦々しげに問う兄にコンラートは静かに答える。
「シュトッフェル支持者の過激派です。 すまない、俺がついていながら」
「・・・私に謝ってどうなる」
コンラートは自嘲気味に小さく笑って、そうだな と呻いた。
恐らく今回の件で一番こたえているのは彼だ。
失うことの酷烈さを誰より強く知っている。
「城内の警備も手薄だった。こちらの落ち度だ」
お前が気に病むことではない、グウェンダルは言外にそう伝えたいのだろう。
普段は努めて厳しく振舞っているグウェンダルだが芯に冷たい男ではない。
勿論コンラートもよく承知している。
幼い頃からそうであったように、いつでもグウェンダルはコンラートの兄であるのだ。
弟の表情が少しだけ和らいだのを横目で捉え、それに、とグウェンダルは続ける。
「結局掠り傷一つ負わずに戻ってきたそうじゃないか」
行方がわからなくなってほんの数日後、ユーリは何事もなかったかのように全くの無傷で帰還した。
暗殺目的の誘拐であったというのに、だ。
今度は一体どんな凶悪な魔術を使ってくれたというのだろうか。
コンラートはそのときのユーリの様子を思い出してか苦笑まじりに言う。
「説得したんだそうだ。話してみたらいい人たちだったと」
「 説得だと? 馬鹿な 」
グウェンダルは大いに驚愕し、それから込み上げてくる可笑しさを堪え切れずに小さく笑みをこぼした。
「全く、あの魔王陛下には恐れ入る」
そういえばいつの間にあの少年を王と認めたのだったか。
あの頃の詰まらない強情を 今のグウェンダルならば難なく笑い飛ばせる。
14:56 2006/02/15
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