1 5 t h t i t l e : 「 馬 鹿 み た い 」
「馬鹿みたい」
「仕っ方ねーだろー、人質取られてこっちだって抵抗できなかったんだから」
作業台に固定したエドワードの右腕にきっちりとボルトをはめ込む。
心なしか、いつもより締め方がきつい。
「だからって幼なじみが丹精込めて整備した究極の機械鎧がこんなになるまで暴れることってある?」
使い終えたスパナを机の上に置くのにも、ガシャン、と大層迫力のある音がした。
「ほんっと馬鹿みたい!」
「う、スミマセン・・・」
いつ自分にスパナが飛んでくるだろうかとビクビクしながら、エドワードはそーっと整備士の横顔をうかがい見る。
「なんでこのあたしがこんなにあんたたちのこと心配しなきゃなんないのよ」
そう言いながら彼女はとても優しい顔をしていた。
「ほんと、ばかみたい」
そして少し、淋しそうな。
見てはいけなかったもののような気がして、エドワードは戸惑った。
「ウィンリィ・・・?」
「もー!信じらんない基礎まで変形してんじゃない!ここの部品じゃ足んないわ。ちょっとアルー!」
ウィンリィはすぐにいつもの生意気な顔に戻っている。
エドワードはほっとしたが、先刻の彼女の表情が気のせいだとは思わなかった。
身につけた銀時計の鎖がすれて、カチリとつめたい音がした。
11:02 2006/02/15
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