1 4 t h t i t l e : 「 な ん と で も 言 う が い い 」
「なんとでも言うがいい」
ヴォルフラムはそれきりふいと視線を逸らした。
「だからそーいうことじゃないんだって・・・」
最初は食って掛かるようだったおれの口調も情けなく下がり調子になってしまっている。
この状況を何とか打破しようと、おれは必死で喋り続けていた。
「あんたのこと悪く言いたいわけでも、都合よく理想語りたいわけでもないんだ」
本当は、魔王になんてなりたくなかった。
普通に普通の高校生やって、その後も普通の人生送れるもんだと疑ったこともなかった。
それがいきなり魔王だなんて。
おれの中には 悪行の限りを尽くして善良な人々を恐怖に陥れるような最悪のイメージしかない。
そして、いつか正義の勇者に倒され、世界に平和が訪れる。
そんな魔王に おれはなるのか?
ヴォルフラムはいつまでも挑戦的な態度で噛み付くようにものを言う。
絶対おれが主だなんて認めてやるものかって感じだ。
「ならお前は何がしたいんだ」
「おれは・・・」
おれは勇者に倒されるなんて真っ平ご免だ。
だったらもともと勇気ある若者が立ち上がる必要もないような平和な国であればいい。
平和を望むだなんて、おれが思ってたみたいな魔王像を見本とするのなら、間違いなく最悪の魔王だけど。
おれは、この国を本当に大切に思っているであろう十貴族の一人を真正面から見た。
「おれは、おれが信じてることをやる。 けど一人じゃ無理なんだ」
おれの言う陳腐な正義なんてたかが知れてるけれど、でも、
「あんたの力が必要なんだ、ヴォルフラム」
ついてきてくれるか、最悪の魔王に。
10:46 2006/02/15
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