1 s t t i t l e : 「 で き た っ ! 」
「できたっ!」
「はい、おつかれさま」
シャープペンシルを投げ出し、机に突っ伏した太一の下から解答用紙を抜き取り、早速赤鉛筆を走らせていく。
「みんな抜き打ちにしてはよくできてるね、感心感心」
すでにテストを終えていたヤマトと光子郎は丈の言葉に苦笑した。
「そりゃああれだけ徹底的に叩き込まれればな」
「下手な塾よりよっぽどスパルタですよ」
よくできました、と太一に答案を返してから丈も笑う。
「勉強を教えてくれって言ったのは君たちだろ」
たしかに、丈の言っていることに間違いはない。
長い夏休み、それに比例して重くのしかかる宿題を、成績のいい先輩にちょっとだけ手伝ってもらうつもりでいたのだが、どうやら頼る人間を間違えたようだ。
快く承諾した丈は宿題をすべて彼ら自身の手で解かせるのはもちろん、一学期の復習から二学期の予習に至るまで幅広く家庭教師をやってのけてくれたのである。
「・・・けどやっぱり苦手教科だと伸びが悪いね」
個別メニュー組み直してみようかななどととんでもないことを独りごちているやたら使命感の強い先輩を前に、3人はどうしたら夏休み前半のうちに丈から逃げ出せるかを必死に考えるのだった。
2:23 2005/12/30
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