[ 1 s t t i t l e : ア ウ ト ラ イ ン ]
目を開けてから脳味噌が覚醒するまでのほんのちょっとのすきに、今日見た夢は忘れてしまった。
22:56 2005/02/16
カーテンをあけても窓枠の中の街は夢と同じくグレースケール。
なんだか全部の輪郭がぼんやりに見える。
あくびをして、身支度をして、テレビをオンにして、朝食を食べるころになるまでずっと考えていたけどいっこうに思い出せないので諦める。
頭の中までぼんやりだ。
テレビからの声。
降水確率40%。
おそろしいほど中途半端な。
今から自転車で君のところへ行って、そしたら君がいる確立は雨よりもちょい高めで50%弱くらい。
電話をかけてわざわざご在宅を確認するのも面倒なのでケータイはそのままピーコートのポケットにつっこむ。
傘は、どうしようか。
けっきょく傘立てに置き放して外へ。
今はまだ曇りでとどまっているし、降って来たら多分君が貸してくれるだろうし。
君が居ますように、君が居ますように。
君のところにつくまでに、雨が降ってきませんように。
今日はなんだか目が覚めてもぼんやりで、今この世界が夢じゃないことをたしかめたくて。
僕を出迎えてくれた君はちょっと驚いて
いつもより早いね、と笑った。
部屋には明るいBGM。
君が好きなこの曲で、部屋の中は曇り空の外とは別世界みたいだ。
僕は、今日見たはずの夢がどうしても思い出せないってのをおもしろおかしく君に話した。
今日は全てがぼんやり見える日だね、とも言った。
僕の輪郭までぼんやりだ。
君はまじまじと僕を見た。
「そうは見えないけど?」
それから笑って言うんだ。
「輪郭はどうだっていいよ。 君の中身を俺は知ってるからね」
いつものように自信あり気に言う君を見て、僕は思わず僕は思わず吹き出す。
だって今朝からずっと曇り空で、僕がうじうじ考えていたことを、どうでもいいの一言であっさり片付けてしまうんだから。
「スギ」
呼ばれた名前に顔を上げる。
「明日は晴れるってさ」
そしたらいやでも君のアウトラインもはっきりしてくるんじゃない?
僕はなんだか急にわかった。
君がてらしてくれるからこそなんだ。
「雨降ってきたら傘借りてくつもりだったんだけど、いらなそうだね」
僕がそういったら君は
ずうずうしいなあ、と笑った。
雨でも雪でも曇でも、アウトラインを浮かび上がらせてくれるのは君の光。
天気予報曰く
傘は当分必要ないくらいに、晴れの日が続くみたいだ。
記念すべき10題一作目ですが、なんかもう色々無理矢理でありますね。
書きたいこと詰め込みすぎた感。
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